FEATURE.
シードは“Made in Nippon”を掲げ、積極的な海外進出を進めています。これはコンタクトレンズの販売だけでなく、世界の高い技術に触れる機会の創出にも寄与しています。そして近年では「国産」の高品質を守りながらも、世界中の技術を国内の製造拠点に集結させ、より高度で高効率な製造体制の構築を図っています。
これは基礎研究から製品開発、製造、販売を一貫して自社で行っているシードだからこそできることです。化学、生物、機械、電気電子、情報、光学など様々な専門知識を持つ社員が、日本をはじめ世界の人々のQOL(Quality Of Life)の向上を目指して、コンタクトレンズの研究開発・製造に尽力しています。
シードでは1枚ずつ丁寧に作りあげる「レースカット製法」と⼤量生産に適した「キャストモールド製法」の2つの製法を採用しています。
創業当時、シードはすべてのコンタクトレンズを「レースカット製法」で製造していました。しかし、使い捨て※コンタクトレンズが主流となった現在では、ハードコンタクトレンズや虹彩付きソフトレンズは「レースカット製法」、使い捨てコンタクトレンズは「キャストモールド製法」とそれぞれに最適な⽅法を選択し、高品質な製品の安定供給を⾏っています。
※頻回交換、定期交換を含む。
棒状に加工した原料をボタン形状にカットし、内外面を切削、研磨してレンズ形状に仕上げる方法。
フロントカーブ型(雌型)にコンタクトレンズの原料を注⼊し、そこへベースカーブ型(雄型)を重ね合わせ、レンズの形状に固め、水分を含ませて作る方法。
技術部では⼊社後、半年から2年間製造現場での研修を行い、人や設備の動きを把握した上で論理的に考える力を養います。この現場研修が、時間や労⼒がかかる作業を効率的にする⽅法を⾒つけ出すなど、製造現場を第⼀に考えた技術開発を可能にしています。
また、製品の品質向上を⽬的としたQC活動(Quality Controlサークル活動)にも積極的に参加しており、半年に⼀度開催されるQC発表会には社長や役員も参加します。各活動テーマの進捗状況や成果が報告され、優秀な発表に対しては表彰を行います。この活動を通して、歩留まり率の向上やコスト削減など多くの改善に寄与しています。
2004年から製造設備の通信ネットワーク化を導⼊し、現在ではほぼすべての製造装置をネットワークに接続しています。
リアルタイムで製造状態を把握できるシステムを⾃社で構築し、製造設備の不具合があった場合にすぐさま対応できるなど、設備の稼働率を向上させています。同時に医療機器の製造に求められる トレーサビリティ(製造情報追跡管理)も容易に可能となりました。また、ネットワークの無線化により⼯場のどこにいてもタブレット端末で設備の状況を把握できる環境となっています。
今後は⼯場⽣産管理システムのIoT化を実現し、⼯場を効率化することを⽬標にしています。そのため、製造装置同⼠が通信を行い、⾃動で製造条件や在庫が最適化されるシステムの構築を試みています。
コンタクトレンズは厚さ0.1 mm、重さ0.02 gのとても小さな医療機器です。その⼩さなレンズに詰まっている数え切れないほどの⾼度な技術は、⽇々進化し続けています。
化学の研究が中心だと思われがちなコンタトレンズの開発ですが、そこには様々な分野のノウハウが必要です。シードの研究開発部⾨には化学系、⽣物系、医学系、⼯学系、物理系などの専門知識を持つ社員がそれぞれ在籍し、新製品の開発に向けて研究に取り組んでいます。
化学系
新素材の合成や化合物の分析
生物系
素材の安全性評価研究や
医師と連携した有効性に関する研究
光学系、情報系、
電気・電子系、機械系
コンタクトレンズの設計や
設備・機械の開発
シードでは国内外を問わず様々な企業、⼤学、研究機関とのコラボレーションを積極的に実施しています。異分野、異業種と共同研究を行うことで、画期的な次世代のコンタクトレンズの開発を⽬指しています。
⾃社での研究とオープンイノベーションをバランスよく進めることで培われるより広い視野や柔軟な発想は、研究に携わる者にとって⾮常に重要なスキルです。そのため、若い社員が積極的に外部とコラボレーションできる機会の創出に取り組んでいます。
虹彩付きソフトレンズ イメージ
カラーコンタクトレンズやサークルレンズの普及により、化粧品に類似したファッションアイテムとしてのコンタクトレンズの認知が広がっています。もちろんそれらも重要な役割のひとつです。
しかし、コンタクトレンズはあくまでも医療機器であることを私たちシードは忘れてはいけません。例えば、虹彩付きソフトレンズ※は虹彩⽋損症や⾓膜⽩斑によって⿊眼の部分が⽋損または⽩濁してしまっている⽅の⽬をきれいに⾒せるためのコンタクトレンズです。
このような製品をはじめ、⼀⼈でも多くのお客様のQOLを向上させるようなコンタクトレンズを⽣み出すことが、医療機器メーカーであるシードの使命です。
※虹彩付きソフトレンズは⽇本でシードのみが認可を持つ製品です。
国内のコンタクトレンズ市場は、今後しばらくは成長を続けるものと予想されています。しかし、国内の少子高齢化や人口減少が加速する中で、企業の成長を長期的に継続させるには海外市場でのさらなる販路開拓・業容拡大が非常に重要です。
シードは“Made in Nippon”の品質力を武器に、今後コンタクトレンズの需要が高まるであろうASEANをはじめとするアジア地域やヨーロッパなど、その国々の特性に合わせた製品を提供しています。2011年にスタートし、2020年には33の国と地域まで販路を拡⼤。これからも積極果敢な世界展開を実現し、より多くのお客様の「見える」をサポートして参ります。