PROJECT STORY

プロジェクトストーリー

スマートコンタクトレンズが切り拓く、
新たな地平

スマートコンタクトレンズが
切り拓く、新たな地平

プロジェクトストーリー
プロジェクトストーリー

INTRODUCTION

コンタクトレンズに電子部品を埋め込んだ「スマートコンタクトレンズ(スマートCL)」。視力矯正だけでなく眼科診療全般への応用、遠隔診療などの新しい医療インフラ、将来的には拡張現実(AR:Augmented Reality)空間やメタバースに寄与するキーデバイスとして注目度が高まっています。
シードの「デバイス技術部」は、この最先端のコンタクトレンズ・システムの開発をリードする部署です。

MEMBER PROFILES

K.Y.

デバイス技術部 課長

大手電機メーカーで車載センサーの生産技術を担当。2022年にシードへ入社。2023年より課長就任。スマートCLの技術開発現場において、新しい経験であるチームマネジメントも担う。

H.Y.

デバイス技術部

大学院で応用化学・光化学を専攻。2023年に新卒でシードに入社。スマートCLの諸機能の研究開発において、外部研究機関との共同研究、デバイス開発の主導的推進、知財戦略策定サポートを担当。

STORY 01 |

スマートコンタクトレンズ分野の
トップランナーとして

K.Y.

スマートCLは、眼科診療だけでなく、ARを活用した新しい社会インフラや、エンターテイメントのためのアイテムとして注目されている眼用デバイスです。シードは、こうした多様な用途を持つスマートCLで必ず活用されるエレクトロニクスを備えた共通基盤技術の一部をプラットフォームとして全世界に公開しました。
(2025/2/4プレスリリース)
私たちが所属するデバイス技術部では、社内での「医療用途スマートCL開発」と、プラットフォームにご参加いただく他企業・研究機関とともに、医療/非医療問わず、新規ビジネスを醸成していく「事業開発」の両輪を担っています。

H.Y.

スマートCLの価値は、これまでの既存コンタクトレンズのイメージを超越するような拡大も予想されます。例としてドローンや製造装置等のマシンに取り付けたカメラ映像を、遠隔のレンズ装用者の眼で見えるようにし、機械と一体的にコントロールすることや、バーチャルとリアルが混合した仮想3次元空間(MR:MixedReality)で自分のアバターが活躍する……そんな未来のメタバースのキーデバイスとしてスマートCLは注目されています。“シード発”のプラットフォームは、そんな未来への出発点となればと考えています。

K.Y.

シードでは既に、Triggerfish®という角膜曲率計測のためのスマートCLを発売しており、実用化スマートCLのパイオニアです。シードはこの分野の世界のトップランナーという自負があるものの、市場規模は十分ではなく、まだ発展途上の領域です。そこでデバイス技術部ではスマートCLの付加価値を向上させ、市場を活性化する目的でプラットフォームを開発しました。
まだ立ち上がったばかりですが、他企業や外部研究機関からの当プラットフォームへの参加のお申し込みが少しずつ増えつつあります。訪れる機会を逸さないように、外部環境を常に注視し、必要な技術水準のアップデートにも注力したいと思います。

STORY 02 |

多様な技術融合をリードする
デバイス技術部

H.Y.

デバイス技術部は、シードの中でも“新規事業を推進する場”に位置付けられています。私のように化学系専攻のメンバーだけでなく、K.Y.さんのように電気・電子、物理を専門とする方、半導体、機械工学や生体工学の知識をもつ方、金型設計、成型のプロの方も集まっています。スマートCLは眼科学、半導体デバイス・実装技術、電気工学、無線工学、光学、成型技術、ポリマー化学など、多くの技術の集合体なので、多角的な視点や社内外の連携が欠かせません。

K.Y.

私たちは多くの組織との座組による「アジャイル開発」という観点を重視しているため、企画・探索から、技術の具現化・確立、事業経済性・投資対効果の分析、開発戦略策定など、多様なステージで多様な取り組みが求められます。
実際に多数の企業・外部研究機関、関係省庁との産学官連携を進めており、そのなかにあって、デバイス技術部は医療機器としてのスマートCLに必要な技術の融合を主導的に担当し、目的達成のための機能を創出する中心的責任を担っています。

※ 『計画→設計→実装→テスト』といった開発工程を機能単位の小さなサイクルで繰り返すシステムやソフトウェアの開発手法

H.Y.

私はまだ入社したばかりですが、デバイス技術部に配属してから、モノづくりが化学や物理だけの観点ではできないことを、業務を通じて日々実感すると共に、多様な技術を融合させて技術開発に挑むことにやりがいを感じています。部内で何かを達成するために必要なときに必要な専門家が開発現場の一点に集まってくるといったイメージです。
また、私自身が医療系、工学系の大学等研究機関や他企業を訪問し実験するといった機会が多く、シードが保有しない考え方や技術にも触れることができ、まさにスマートCLという技術融合の過程をつぶさに見ることができていると思います。

STORY 03 |

困難を克服するためのチームの
ラーニングモデル

K.Y.

私は前職で車載用デバイスの生産技術の分野に居たので、医療機器分野の難しさを感じています。例として角膜上で起こる力学現象の解析のために、簡易に人の眼を使う実験が倫理的・法規制上難しいことから、全く別の工学的知識を導入し、人工角膜システムを構築して検証できるようにしました。
このように一見すると遠い技術や関連性のないような学術的知識を絡めて創造的に考えることの大切さを学んでいます。

H.Y.

デバイス技術部は子会社のSensimed SA(スイス)との関わりが深く、海外の優秀な開発スタッフとコンタクトレンズの先進技術について語る場が毎週のようにあります。また、多くの技術を扱うからこそ、どんな開発においても必要となる計測技術、統計学・最適化・モデリングなどの数理科学分野や、ビジネスリテラシー、開発戦略論など、私が大学では系統的に学べなかった「技術開発の基本」を学べています。
部署内ではセミナー形式での教育システムが完備され、そこでの教材が日々の開発計画策定や、実験結果の解析に役立っています。もちろん、上司や同僚との日々の議論が困難を克服するための生命線となっています。

K.Y.

そうですね、部署内は何事もラーニングモデルで捉えていると思います。つまり、日々学習です。技術は手段であって、あくまでも目指すは利益創出と、価値提供による社会貢献ですので、技術者としてだけでなくビジネス・パーソンとして広さと深さの両方の力量が問われていると感じています。それが部署内ラーニングモデルによって培われていると思います。

H.Y.

またデバイス技術部は、自由な行動が推奨される「自律型組織」を目指しており、メンバーが自主的・批判的に物事を捉え、提案をしていくことが奨励されています。
技術については皆が対等であるという意識があるので、意見を言い合える部署だと思いますが、自由だからこそ、それなりに責任もきちんと担う、成果を出していく、そんな人間であるように心がけています。

STORY 04 |

未来への展望とそれぞれの想い

K.Y.

私が常に意識しているのは、革新性・先進性をもった技術で世の中に貢献するという目標のもと、世界で仲間をつくり、企業同士が協調的に互いを発展させるWin-Winの関係性を構築していくことです。
そのなかでシードは医療用途でのスマートCLの創出に注力しながらも、プラットフォームを活用する人々の創発的な開発をプロモートし、企業エコシステムを拡大させ、この市場を大きく育てていきたいと考えています。

H.Y.

スマートコンタクトレンズの研究開発はまだ途上ですが、だからこそ未知なる可能性が開かれていると感じています。既存のスマートCLへの考え方に捉われず、多様なアイデアを試して機会を掴み取るという気持ちを大切にしていきたいと思います。
なかなかうまくいかないことも多いですが、初めて自分の開発しているデバイスが動作したときの感動などを胸に、達成感を一つ一つ拾っていくということができればいいなと思います。