見えるをつくる 対談(研究×生産技術×品質管理)  研究×生産技術×品質管理 01「見える」をつくる。

「Made in Nippon」品質を強みに、いまや日本のみならず世界に向けて規模を拡大し続けているシード。その根幹であるものづくりの現場では、日々どのような取り組みが行われているのでしょうか。今回は、研究、生産技術、品質管理という3つの異なる技術系職種の方々に、普段の業務内容や仕事に対する想い、新製品開発の裏話などをお伺いしてきました。

SEED'S POWER 01 さまざまな部署がひとつになり、はるか先のゴールを目指す。

———本日は宜しくお願い致します。今回の対談では、“「見える」をつくる”というテーマのもと、普段はあまり知られることのないコンタクトレンズの研究開発から製造についてお聞きしたいと思っています。早速ですが、まずは皆さまの業務内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

片田ではまずは私から。私は現在、技術部という部署に所属しており、コンタクトレンズの生産ラインの構築を行っています。工場は、本社からの販売計画や開発部からの開発計画にのっとり、臨機応変にレイアウトを変えていくものなのですが、ただ闇雲に機械を配置するのでは生産効率が落ちてしまいます。製品の製造数や製造方法を考慮して「どの機械を」「どこに」「どういう風に」配置するのかを考えることが仕事ですね。

———なんとなく、工場は建てたら終わりというイメージを持っていましたが、生産するものによって工場内は変化していくものなのですね。

片田そうですね。新製品はもちろん、既存品についても販売状況の変化に応じて生産方法を変更していかなければなりません。また、安定した生産を行うためには電気やガス、水、空調、ボイラー、水処理設備などのインフラ設備も重要な要素となります。しかし、これらを後から変更するのは大工事が必要になってしまいます。ですから私たちは、工場の設計段階から建築担当のゼネコンと協力し、シードとして最も生産効率のよい工場となるようアイディアを出しあっています。

———先ほど片田さんのお話の中に「開発部からの開発計画にのっとり」というエピソードがありましたが、その開発に関わる業務を行っているのが川内谷さんということになるのですね。

川内谷はい。私が所属する開発部は、名前の通り新製品の開発が主な仕事です。その中で私は、研究開発中のサンプルレンズの物性分析を行っています。物性分析というのは、「このコンタクトレンズはこういう性質を持っていますよ」ということを調べること。また、開発した新しいコンタクトレンズの承認取得に必要な試験なども行っています。

———ありがとうございます。では、この中では最年少の田中さんはどういったお仕事をされているのでしょうか?

田中現在私は品質管理部という部署に所属しています。この部署の大きな役割は、「製品としての完成度を高めていく」ということです。その中で私は、2015年の入社以来、生産現場などから出てきた物質の成分を細かく分析して、どの工程で、どんなものが出てきたのか、といったことを調べています。

片田品質管理部で成分の分析を行うようになる前は、仮に異物が混入してしまうと、それを出した可能性がある機械をすべて止めて総点検しなければならなかったんです。そうすると生産自体がストップしてしまうため、大事になってしまう。今は、彼女が徹底的に分析を行い、異物の発生箇所を絞り込んでくれるため、怪しい箇所をピンポイントで対策することができるようになりました。

田中コンタクトレンズというのは目に入れるものですので、異物への対応はシビアでなければなりません。ですが、生産という観点からいくとラインはなるべく止めたくない。生産効率を維持しながら、安全性を高めていくことが私の仕事だと思っています。徹底的に調べるため、ミクロン単位での分析も珍しくありません。

———ありがとうございます。では次に、新製品が誕生するまでの一連の流れを教えていただいても宜しいでしょうか。

川内谷市場や医療現場のニーズをリサーチし、「こういうコンセプトで、こういう素材を使って、こういうレンズを作りたい」というおおよその方向性が決まったら、まずは開発部でベースとなる素材を研究します。その後、基本となる素材が完成したら、今度はそれをコンタクトレンズにどう加工するかという研究を経て、まずは少量で試作してみます。その少量で試作されたレンズの物性を調べて問題がなければ、本格的に大量生産の方法が検討されはじめます。

片田そこからは私たち技術部の仕事です。新しいレンズの開発が決まれば、どんな機械が必要で、どういう方法で生産していくか検討しなければなりません。コンタクトレンズを製造する機械は完全にオーダーメイド。メーカーの担当者と話し合いを行い、必要であればゼロから機械を作りあげていきます。しかし、あらゆる方法を検討しても、その素材では大量生産ができない場合も出てきます。そうなった場合は、再度、開発部に戻して素材から再検討してもらうこともあります。

川内谷開発段階でも生産段階でも、「これはムリだ!」という判断に至ることは多々ありますよね。開発部と技術部を行ったり来たりしながら、ようやく製品として世に出せるものが見えてくるという感じです。

片田私は、コンタクトレンズの製造は、料理に似ているところがあると思っています。たとえば川内谷さんがいる開発部で行っていることは、「肉は何グラム用意して、塩と胡椒は何グラム〜」のように材料を検討しているイメージ。私たち技術部がやっていることは「その素材をどういう風に切って、何分煮込めばいいのか」というイメージですね。

川内谷ですから、おおもとの材料が間違っていたらどんなに頑張っても成功しない。そうなると「すみません、素材から作り直します」となる訳です(笑)。

片田もちろん、材料は合っているのに調理方法が間違っていることもあります。どんなに煮てもダメだったのに、視点を変えて、焼いてみたら美味しくできた、というように。こんな風に行ったり来たりしながらお互いが協力し合ってゴールを目指しています。

川内谷そうして無事製品として販売ができるレベルに到達すると、素材となる原材料を大量に仕入れなければなりません。その原料が入荷した時に品質のチェックを行うのが、田中さんの所属する品質管理部です。

田中はい。大量生産となると、原材料も大量に必要となるのですが、原材料は比較的頻繁に品質が変動することもあります。まったく同じメーカーのまったく同じ原材料でも、製造された月によって微妙な差が出てしまう。そういった微妙な品質の変化をチェックし、何か異常があった際は技術部や関連部署に報告することで不具合の発生を未然に防いでいます。

片田現在シードでは月に約3,000万枚コンタクトレンズを製造しています。仮に原材料の微妙な変動で、1%の不良が増えたとする。たったそれだけで30万枚のコンタクトレンズが廃棄されてしまう訳ですからね。素材の変化には敏感に対応せざるを得ません。

川内谷コンタクトレンズは、生産工程においては季節や湿度によって品質に差異が出るほど繊細なものですから、生産の現場を任されるのは大変ですよね。

片田そうですね。なるべく均一に仕上がる機械を開発し、使用してはいます。ロスを出さない最善の方法は何か、ということを常に問い続ける。生産に携わる人間の永遠のテーマですね。

———ありがとうございます。先ほどは生産の一連の流れと、難しい点を教えていただきましたが、次は仕事のやりがいについてお伺いしてもよろしいでしょうか。

川内谷私は、自分が開発に携わったコンタクトレンズが実際の製品として世の中に出る瞬間です。コンタクトレンズの開発にはものすごく長い時間がかかるため、我が子を送り出すような心境になりますね。

片田本当に長いですよね。仮に素材の開発がうまくいっても、製造に必要な機械を作りあげるのに1年。さらに国の承認がおりるまで1年近くかかってしまうので、初期のコンセプトづくりからリリースまではだいたい5〜6年くらいかかってしまいます。

川内谷トライ&エラーを繰り返すことが当たり前なので、根気よく続ける精神力が求められますよね。片田さんはどんなときにやりがいを感じますか?

片田はじめにも言ったとおり、実際に生産の段階に入っても、原材料の変更や販売計画の見直しで生産ラインを変更しないといけないことは多々あります。ただ、生産ラインの変更は建物や機械などに影響してくる大がかりなものですので、「とりあえず後から変えちゃいましょう」ということが簡単にはできません。ですから私たちは、常に先の展開を読み、変化に対応できるような準備をしておくのです。イレギュラーな事態が起こってもそれが自分の想定の範囲内で、即座に対応できたときはやりがいを感じますね。「もちろん考慮していますよ」って、心の中でガッツポーズ(笑)。

田中私は入社して日が浅いため、まだまだ力不足を痛感することも多いのですが、片田さんは最初から今のように先を読んで仕事することはできていたんですか?

片田ぜんぜん! 最初はいつも上司から「もっと想像力を働かせろ!」と言われていましたね。視野が広がり、先手を打てるようになったのは本当にここ最近です。それくらいコンタクトレンズの製造は難しいということですね。田中さんはどんなときにやりがいを感じますか?

田中検査項目の中の重要な作業である異物の分析を任せてもらっているので、「自分がシードの品質を守っているんだ!」という気持ちで仕事に取り組んでいます。また、自分の分析によって生産工程が改善されたときなどは、強いやりがいを感じます。技術も関連法規もどんどん変化していきますので、常に勉強に取り組んで最新の知識を身につけていきたいですね。

———では最後に、技術系職種から見たシードの魅力について教えてください。

片田何より、「Made in Nippon」の名に恥じない品質ですね。製品としてはもちろん、それを製造する工場も高品質だと思います。海外のお客様が視察に来られることもあるのですが、シードの工場のクオリティには驚かれますから。

川内谷私が入社して一番驚いたのは、「ここまで徹底的に調べてから出荷するのか!」ということです。他のメーカーさんの工場を見た訳ではないので比較は難しいですが、間違いなくシードの品質管理はトップレベルだと思います。

田中私も、検査項目の多さはシードの強みのひとつだと思います。たとえば、コンタクトレンズは最終工程で徹底的に滅菌してから出荷されるのですが、だからと言って滅菌前の製品に微生物が大量に存在することは好ましい状態ではありません。そこで品質管理部では滅菌前の製品を毎日抜き取り、シャーレで培養して菌がどれくらい繁殖するのかを人の手でチェックしています。非効率な作業ですが、高品質を保つためには欠かせないものだと思っています。

片田非効率といえば、私たちはコンタクトレンズそのものだけでなく、製品パッケージにも配慮しています。コンタクトレンズは密封されているため、使用時に開けづらいというお客様の声をよく耳にします。そこで、私たちは蓋の圧着力を計測する機械を新たに開発し、きちんと検証、数値化することに成功し、改善することができました。それをやったところで生産枚数が増える訳でも、価格が安くなる訳でもないのですが、そういったお客様の声を細かく拾い、対応できることも国産メーカーならではの強みなのではないかと思います。

川内谷技術系職種の楽しみは、いろいろな部署の人が協力しあい、ひとつのゴールを目指すことだと思います。どこの部署が抜けても、「Made in Nippon」品質は保てない。もちろんコンタクトレンズは人の目に入るものですので、それ相応の責任と厳しさはあります。ですが難しい仕事だからこそ、その分強いやりがいと面白さを感じられると思います。

片田シードは今、会社としてどんどん大きくなっています。今後は生産ラインにIoTやAIなどの最新技術を取り入れたり、これまで取り扱っていなかった分野に乗り出すことも十分に考えられます。新しいことにチャレンジしたい。会社と一緒に成長したいという学生さんには、ぜひシードに来ていただきたいですね。

(この対談は2016年11月に実施したものです。)